「防災」としての「脱・電柱社会」

11月10日は何の日かご存じですか?

「無電柱化の日」、なのだそうです。 実は、「0」の前に並ぶ「1」の電柱を「0(ゼロ)」にするため、という意味でこの日に制定されたそうです。

無電柱化のメリットは大きく3つあります。まずは、「景観形成・観光振興目的」です。電柱や電線を地中化することによって景観向上効果が生まれます。特に、古い町並みを残す街や、観光を主な収入源とする大都市にとって、観光価値を高めるために景観の美化はもちろん大切です。

また、2つ目のメリットとして、電柱が地中化することにより、歩道が広くなります。歩行空間の幅が広がることによって、ベビーカーや車いすをご使用の方も安全で通りやすくなり、バリアフリーの歩行空間が生まれます。

MB Japanでは、無電柱化工事における、現場での様々な工程の中でサポートできる製品を、豊富に取り揃えております。ここで、トルコのお客様の事例をご紹介しましょう

BF90.3 – Sumitomo SH 210 LC – Turkey - Basalt, asphalt
バケットクラッシャーBF90.3が建設副産物を破砕中

住友の油圧ショベルにMBバケットクラッシャーBF90.3を取り付け、道路整備工事のすぐそばで、アスファルトと玄武岩の破砕作業を行っています。現場で破砕する対象物の違いなど、こちらの事例が、そのまま別のお客様の現場に適用できるのかどうかについては、各々の現場の条件にもよりますが、MBバケットクラッシャーがあれば、現場で発生したアスファルトをその場で破砕できるため、産業副産物の再資源化が簡単になりました。

さて、無電柱化による3つ目のメリットについてですが、実は「防災」につながるということです。これは、特に自然災害が多い日本において、注目すべきメリットなのではと思います。台風や地震が発生すると、電柱の倒壊によって、救急車などの緊急交通路の確保が難しくなるからです。

国土交通省は令和3年5月に「無電柱化推進計画」を策定、今後5年間の間に「脱・電柱社会」を目指して

  • 新設電柱を増やさない
  • 徹底したコスト縮減を推進
  • 事業の更なるスピードアップ

に取り組む姿勢を、「無電柱化推進計画について[1]」の中で明らかにしています。その目的はやはり、「防災・強靭化目的」と「交通安全、景観形成・観光振興目的」にあります。


具体的な無電柱化工事には、いくつかの方法がありますが、地中化による無電柱化工事の主な手法として、電線共同溝方式があります。この方式は、道路の地下空間を活用して、電力線や通信線などを、まとめて収容するという手法となっており、沿道の各戸へは地下から電力線や通信線などを引き込む仕組みになっています。

その大まかな工程として、

  1. 埋設物探査および試掘
  2. 舗装撤去および管路敷設
  3. 特殊部設置後、引き込み管設置
  4. ケーブル敷設および地上機器設置
  5. 電柱撤去
  6. 舗装工事を経て完成

となっています。

MB Japanでは、来月より全4回にわたって、電線共同溝方式で主要な工程である「掘削・表層剥離」「ケーブル敷設と埋戻し」「電柱撤去」について、実際にMB製品をご使用いただいている具体的な事例をご紹介していきたいと思います。

MB製品を導入いただくことで、現場での発生材を、次の工事で使用する材料としてリサイクルできることから、運搬にかかるコストや時間を節約することができます。また、脱炭素社会(カーボンニュートラル)に向けた取り組みが叫ばれている昨今、MB製品の導入により現場で生まれるメリットそのものが、ひいては「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」というSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」への貢献にもつながっているといえるでしょう。

来月は、無電柱化工事の際に欠かせない「舗装撤去」について具体的な事例をご紹介します。是非次回のニュースレターもどうぞお楽しみに!

(*) 廃棄物処理には許可が必要です。なお、特定建設資材を用いた建築物等の解体工事、特定建設資材を使用する新築工事等で一定規模以上の工事(対象建設工事)については、特定建設資材廃棄物を基準に従って工事現場で分別(分別解体等)し、再資源化等することが義務付けられています。

[1] 出典:国土交通省ウェブサイト 「無電柱化推進計画について(令和3年5月25日 国土交通大臣決定)」 PDF