現場における25年。鉄と油、そして道路の匂いに満ちたストーリー
25年とは? 言い換えれば四半世紀。結婚でいえば銀婚式。それは、現場での一日の作業終了時に安全靴を覆っている泥や土埃のように、積み重なる時間の流れ。
MBクラッシャーにとって、単なる数字ではありません。それは、グリースまみれの手であったり、作業の合間に生まれたひらめきであったり。必要とされるその場所、つまり工事現場で具現化したアイデアの積み重ねそのもの。アッゾリン兄弟が育ったのも、まさに工事現場。すべて現場からスタートしました。
「課題を解決する必要があった。現場発生材を再利用し、コストを減らして、時間とお金の無駄使いを止める必要があった」 その必要性から生まれたのが、シンプルかつ強力な発想でした。すくって砕くバケット。こうしてMeccanica Breganzese社が誕生し、MBクラッシャーのストーリーが始まります。
これは、さまざまな現場のストーリーが織りなす物語です。すべてを語ろうと思ったら、一昔前の家庭の本棚に並んでいた百科事典のような本を書くことになってしまいます。今回はその中からストーリーをピックアップしてご紹介します。
すべては、アッゾリン兄弟の思考から始まりました。工事現場で建設機械に囲まれて育った兄弟には悩みの種が一つありました。現場で発生する大量の廃棄物をどう処理するか。工事のたびに大量の廃棄物が発生し、それを処理する必要があり、廃棄物処理には高い費用がかかっていました。そこで生まれたのが逆転の発想です。現場では掘削用の油圧ショベルが使われています。それなら、砕くことができるバケットを作ってしまえばいいのではないか。そうして生まれたのが、バケットクラッシャーです。
こうしてMeccanica Breganzese srlが誕生します。会社名には、北イタリアのヴィチェンツァ県にあるブレガンツェという町名が含まれており、ルーツを感じ取ることができます。それもそのはず、兄弟の父カルロはすでに1950年代から、この町の最初の幹線道路建設工事に携わっていたのです。
2002年、MBクラッシャーから初のバケットクラッシャーが誕生。モデル名はBF90.3。兄弟が現場で実際に使っていた油圧ショベル向けに設計されたものでした。翌年には、県内の現場へ初めて発送される完成製品が倉庫にずらっと並んでいました。そして、ラインナップが拡大していきます。このバケットを使うことで、長年現場を悩ませてきた課題を解決できたというお客様の声が届き始めます。
2005年。あらゆる分野でのデジタル化がまだ普及する前の時代です。イタリアのリミニ県の現場から、稼働中のバケットクラッシャーが写った最初の写真が届きます。現場の光に舞い上がる埃のアナログ写真。なんてことのない一枚に見えるかもしれません。しかし、それはすでに歴史の一部を成していました。
この年ヴェローナで開催された展示会Samoterが、企業とMBクラッシャーの出会いの場となります。決定的な瞬間でした。当時、業界で破砕といえば大型破砕機によるもののみでした。この展示会でMBクラッシャーは、現場にある建設機械に装着して使用できるコンパクトで自立型のソリューションを紹介しました。
会社創立から4年も経たないうちに、MBクラッシャーは国境を越えます。2006年、バケットクラッシャーBF120.4が船に積まれ、アラブ首長国連邦の集合住宅の建設工事現場に到着。これが、イタリア国外で稼働した最初のMBバケットクラッシャーでした。
本当に役立つ工夫や課題を実際に解決するアイデアは評価されるものです。2007年、MBクラッシャーはジュネーブ国際発明展(Grand Prix du Salon International des Inventions)グランプリを受賞しました。高いコストと厳しい工期に毎日立ち向かう人々の切実なニーズから生まれたソリューションが国際的に評価されました。
そして、初の国外拠点としてフランスにMB France Sarlを設立。
この年は、基盤を固める一年となります。MBクラッシャーは企業として成長を続け、技術を磨き、信頼を積み上げていきます。現場こそが、真の試験場でした。
Born for the USA。米軍向けに1,635戸の住宅を建設するという思いがけないプロジェクト。その現場に導入されたのがMBクラッシャーです。バケットクラッシャーを使って解体発生材をその場で破砕することで、ダンプトラックによる搬送を減らし、処理コストを抑えることに成功しました。
2009年、MBクラッシャーのアタッチメントはインドにてハイデラバードとバンガロールを結ぶ高速道路の建設工事現場に投入されます。インフラ整備が急テンポで進む国における巨大プロジェクトでした。
この年は、有限会社から株式会社へ移行し、大きな転機となります。組織は拡張し、生産体制も強化されます。そして、ドイツ支社 MB Deutschland GmbHを設立。スクリーンバケットMB-Sシリーズも誕生しました。
MBクラッシャーは世界的イベントの場へ進出します。現場は国際的な舞台へと広がっていきます。
南アフリカのヨハネスブルクでは、MBバケットクラッシャーがサッカー・シティ・スタジアムの建設工事現場で稼働。工事を進めるLiviero Civils社が導入した複数台のアタッチメントが、基礎工事により発生する廃材の処理をおこないました。
同年、MBクラッシャーは日本にも進出します。MB Japan株式会社が設立され、MBバケットクラッシャーが東京の地下鉄工事で活躍しました。遠く離れた2つの国で、象徴的な現場における稼働が、同じ年に実現しました。
2011年、MBクラッシャーは対照的で巨大な2つの市場へ展開していきます。インドにはMB Crusher India Pvt. Ltd.、アメリカにはMB America, Inc.を設立。
イタリアのフォルリでは、MBバケットクラッシャーを導入し、外部に頼らない発生材管理・処理をおこなうことで、新たな案件獲得へとつなげていった成功事例もありました。コスト削減は競争力の強化に直結します。
2012年、中国支社MB Shanghaiを設立。さらに、ホイールローダー、スキットステアローダー、バックホーローダーに取り付け可能な、初のバケットクラッシャーMB-Lシリーズが登場。よりコンパクトな建設機械向けでも、コスト削減のコンセプトは不変です。
また、イタリア国内のお客様からも多くの評価をいただいた年となります。パルマのDallagiovanna Luigi srl社は「BF70.2を使うメリットはたくさんありますが、なんといっても、常に質の良い再生材を確保できるのが大きいです。もちろん処理コストの大幅な削減は言うまでもありません」と語ってくださいました。
さらにサッソ・ディ・ネヴィアーノ・アルドゥイーニ(パルマ県)では、Massimiliano Cavalli氏がBF90.3の導入・使用について話してくださいました。パルマ川の岸辺で川石を破砕する仕事で、かなり困難を伴うことが想定されていたそうです。しかし、BF90.3の導入により、安定処理材用の細骨材と40〜70mmの砕石の生成に成功。
2013年、新たな製品ラインとしてツインヘッダーMB-Rシリーズが誕生。そして、MB製品の汎用性をどんなカタログよりも雄弁に物語ることになる案件が届きます。
モロッコにおける現地では最大級の道路をつなぐプロジェクトに、7台のスクリーンバケットと2台のバケットクラッシャーが投入されます。同プロジェクトにより高速道路と工業施設の建設や管路敷設工事が同時におこなわれました。特に250kmにおよぶ管路敷設工事では、スクリーンバケットの活用により現場内で発生材を回収し、場内における再生路盤材の生成が実現。
創業時のオフィスから数キロの場所にあるファラ・ヴィチェンティーノへ本社が移転します。新社屋に移っても、原点とのつながりは揺るぎません。敷地面積は45,000平方メートル。研究開発部門、生産部門、営業部門、管理部門を備え、250人を超えるスタッフが働いています。すべてのアタッチメントはここで生まれ、ここから世界各地へ送り出されています。
同年、MBのアタッチメントはブラジルで開催されたFIFAワールドカップ2014の会場、アレナ・ペルナンブーコ・スタジアムの建設工事でも活躍しました。
そして、グラップルMB-Gシリーズが誕生します。
2015年、MBクラッシャーはカリブ海のセントクリストファー・ネイビス島に上陸。遠く、美しいこの地で、MBクラッシャーのアタッチメントが自然環境保全のために活躍しました。
そして、ホイールローダー、スキットステアローダー、バックホーローダーに取り付け可能なスクリーンバケットMB-LSシリーズが誕生します。
2016年には、ブラジル支店MB Crusher Do Brasilを設立。そしてこの年、MBクラッシャーのアタッチメントは遠く離れた3つの地で、いずれも厳しい条件下の現場で稼働します。
アゼルバイジャンでは、13台ものスクリーンバケットが南コーカサス・パイプライン(SCP)工事に投入されました。アゼルバイジャンからトルコへ天然ガスを送る大規模なガスパイプラインです。
サウジアラビアでは、MBクラッシャーのアタッチメントが、中東でも特に期待されているインフラ計画のひとつ、リヤド地下鉄建設工事で使用される骨材の生成をサポートしました。
2017年、MBクラッシャーはドイツ・バイエルンの歴史的市街地の中心で稼働します。自走式破砕機を持ち込むことも固定設備を据え付けることも必要としない、バケットクラッシャーのコンパクトさが決め手となった都市型現場です。
一方、ジブチでは、バケットクラッシャーBF120.4がジブチ国際自由貿易区(DIFTZ)のために玄武岩を破砕。過酷な気候の下、きわめて硬い岩石を砕きます。
2018年は目がまわるような忙しさで過ぎていきます。
スペインのバレンシアでは、海岸保全事業専門の会社がスクリーンバケットMB-S14を使って9kmにわたるビーチを清掃。砂から植物やごみを除去し、回収した天然資材は地元の公園で再利用されました。
ドイツのドレスデンでは、エルベ川に架かる歴史ある石橋、アウグスト橋の修復工事がおこなわれました。橋桁に使用されているコンクリートが橋の構造に支障をきたしているということで削り取る必要があったのです。18世紀に建設された構造にダメージを与えない施工が求められ、その解決策として選ばれたのがMBクラッシャーのツインヘッダーMB-R800です。
そして、MBクラッシャーはFIFAワールドカップ2022に向けたカタールの工事現場においても少し早い段階から稼働を始めます。これによりMBクラッシャーは、南アフリカ2010、ブラジル2014、カタール2022とワールドカップに3度も関わることになります。
2019年、MBクラッシャーはアルゼンチンのパタゴニアのバカ・ムエルタの現場へ。世界最大級の油田のひとつであり、何もない荒野の現場にて、厳しい物流条件下かつ極限の環境の中で稼働する必要がありました。
一方、コルシカ島では、島の岬の断崖という極めて不安定な環境での工事がおこなわれました。海の上にせり出すような足場の中、ドラムカッターは1日あたり3メートル超の切削を進めました。
そして、ロータリースクリーニングバケットMB-HDSシリーズが誕生します。
2020年、MBクラッシャーはボルドーメリニャック空港と都心を結ぶ道路建設をサポートします。発生材を現場内で破砕し、その場で再利用します。ダンプトラックの使用を削減しつつ、工期を守って工事を完了。また、欧州委員会の新拠点となる新ビル建設予定の基礎工事現場でも稼働。この現場では持続可能性と発生材のリサイクルが必須条件でした。
インド洋上に浮かぶ火山島、レユニオン島では、バケットクラッシャーが古い製糖工場の再生工事に活用されました。
メキシコ・タバスコ州では、野球場の解体にバケットクラッシャーBF80.3が用いられました。発生材は廃棄される代わりに破砕されて盛土材として再利用されました。資源の循環が本当のコスト削減につながります。
スペインでは、MBクラッシャーのアタッチメントが考古学博物館の工事現場で活躍。ここで求められたのは何よりも丁寧さ。バケットクラッシャーは求められたサイズに破砕処理することで、そのニーズに応えました。
2022年、MBクラッシャーはエジプトで2つの大きなプロジェクトに取り組みます。 カイロでは、新しい鉄道路線の建設工事にMBクラッシャーのアタッチメントが投入されました。発生材はその場で処理され、工期は短縮、環境負荷の軽減にも成功。
紅海沿岸のアイン・ソフナでは、MBクラッシャーが港湾拡張工事をサポート。エジプト国内の物流にとって戦略的と言えるこの現場では、輸送時間を減らすことがカーボンフットプリントの削減に直結しました。
2023年、MBクラッシャーのバケットクラッシャーとスクリーンバケットがルクセンブルクの欧州投資銀行(EIB)の大規模な工事にて稼働。MBクラッシャーが選ばれたのは偶然ではありません。解体廃材を現場内で破砕し、その場で再利用する。欧州プロジェクトが求める施工方法がまさにこれだったのです。
エジプトでは、MBクラッシャーがオアシスとオアシスの間に新たな道を切り開きます。破砕プラントを設置することなどほぼ不可能な遠隔地。そんな場面でも、MBクラッシャーのアタッチメントは油圧ショベルに取り付けたまま、必要な場所へと運ばれます。
インドでは、6台のツインヘッダーMB-R800を活用して、かんがい用水路の増幅・整備工事で精度の高い作業を実現しました。技術的な要素が求められていたため、切削する以外に解決策はありませんでした。
2024年で最も印象的なエピソードといえば、モンブランの現場かもしれません。アルプスの最高峰モンブランのフランス側、標高3,300メートルの場所では、Pugnat Tp社がグラン・モンテの新しいロープウェイのためのプラットフォームを建設。 地上からは直接アクセスできない場所です。そこで、バケットクラッシャーBF90.3を工場で分解し、ヘリコプターで現場まで複数回に分けて搬送したのち、MBクラッシャーの技術者が現場で組み立てて稼働を開始しました。
インド、スピティ谷のカザでは、6台のバケットクラッシャーMB-L160とBF90.3が道路建設工事に投入されます。誤差さえ許されない環境で、物流条件が要になる現場でした。
イタリアのパドヴァ県では、Ivanovic氏がグラップルを使って4日間で長さ52メートルの石積み壁を築き上げました。職人技と最新技術の融合を言葉で説明するのはなかなか難しいので、ぜひ動画をご覧ください。
そして、インドネシア支社 PT MB Indonesiaが設立されます。
2025年は、イタリアバジリカータ州マテーラの都市再生プロジェクトから始まります。二つの大きな広場を結ぶ世代間交流公園整備事業は、州と市が事業費を負担し、Trezza srl社が工事を進めました。バケットクラッシャーBF90.3の活用が発生材の再資源化を加速させます。
MBクラッシャーは南フランスのコート・ダジュールでも活躍。ATV Terrassement Nicolino & Fils社は、ヨーロッパでもとりわけ美しい海岸のひとつとされる現場にて解体工事をおこないました。バケットクラッシャーBF60.1で発生材を砕き、スクリーンバケットMB-S14で分別して再資源化を図ります。
そして2025年末には、ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックに向け、北イタリアのボルミオとアラッバにてインフラ工事が進められました。MBクラッシャーのアタッチメントは現場内で発生材を処理することで運搬を削減し、山岳地帯における厳しい工期に応えます。
そして、新製品デモリッションクラッシャーMB-PTシリーズが誕生。
2026年も勢いは衰えません。フランスでは、デモリッションクラッシャーMB-PT1650が解体現場で極めて高い精度を発揮します。オペレーターさんによると、医療用メスのように精確で安心して使えるのだそうです。
エジプトでは、自社の油圧ショベルにバケットクラッシャーを取り付けて岩石を砕き、従来の破砕機のコストを回避することで金の採掘を効率化しています。1時間あたりの処理能力は約25m3。この成果を目の当たりにしたお客様は、7台追加購入されました。
サウジアラビアの首都リヤドでは、掘削材が再生材へと生まれ変わります。工事で発生する掘削材を場外に搬出せず、MBバケットクラッシャーを使ってその場で破砕処理することにより、現場内で再利用できる再生砕石を生成しています。
ベネズエラでは、MBクラッシャーが従来資材の調達が困難な地域を道路で結ぶサポートをしています。
25年。それが意味するもの
この長いストーリーを一気に読もうとしたら、息切れしてしまうかもしれません。メキシコの野球場、パタゴニアのパイプライン、アゼルバイジャンのガスパイプライン、カイロの鉄道、モンブランのロープウェイ、エジプトのオアシスを結ぶ道路。いずれも四半世紀に出会った、世界各地に広がる多様な現場です。
方向性は揺らぎません。北イタリアの小さな作業場で生まれ、現場が抱える課題を解決したシンプルな発想。
これが、MBクラッシャーです。そして、これがそのストーリーです。
25年を経て
振り返れば、そこにあるのは現場。 前を見ても、やはり現場。
異なる国に、異なるプロジェクト。 しかし、本質は変わりません。
リアルな課題を解決するために生まれたアイデア。 25年後の今もなお、それは継続しています。
一日一日。 世界各地で。
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